日本は医療の検証データがほとんど無い。

日本は医療の検証データがほとんど無い。

日本は医療の検証データがほとんど無い。

 

近年、医療不信の声を上げる本が多く出回っています。

 

なかにはまるで医者が患者を殺すかのような過激なタイトルのものもありますが、この手の本が多く出版されるようになったのは、ベストセラーとなった近藤誠先生の『患者よ、がんと闘うな』(文藝春秋)という本が出てからだと思います。

 

癌があるのに放置するという近藤先生の考え方は、それまでの日本におけるがん治療の歴史にはなかったので大きな衝撃を与えたように感じます。

 

また、近藤先生の言うとおりにがんを放置したら死んでしまったといった話も出るなどして賛否両論が巻き起こりました。

 

こういう話を聞いて私自身が思うのは、医学というのは基本的にサイエンスですから、医療論というものも基本的に確率論や統計に基づいた考え方をすべきだということです。

 

癌は手術すべき?

たとえば、がんが発見されたとします。

 

手術をしなかった場合の平均余命が3年で、手術をした場合の平均余命が2年8カ月だとすれば当然、手術をしないほうがいいということになります。

 

ただし、平均余命というのはあくまでも平均値ですから、手術をして5年長生きをしたという人もいれば、手術中に死んでしまった人も中に含まれていて、その平均が2年8カ月になっているのかもしれません。

 

ということは、手術をすれば5年以上生きられるかもしれないわけです。もちろん、手術で死ぬ確率もゼロではありません。

 

そういう確率や統計を見て、どちらの治療を選ぶかは患者さんが自分で決めなければならないわけです。

 

がんを手術するかどうかの判断は難しい

がんになったとき、手術をした場合に4〜5年生きられる可能性があって、手術をしなければ余命3年(※もちろん、これも平均値なので、10年生きる人もいるかもしれません)という場合、手術をしたほうがいいという話になりがちです。

 

しかし実際問題として、手術後の健康状態や身体状態を考えると、必ずしも手術をしたほうがいいとは言えないという問題があります。

 

たとえば、胃がんや大腸がんで大きな手術をすると、多くの場合、体力がガクンと落ちてしまいます。

 

体力が落ちて日常生活がかなり不自由な状態で少しでも長生きをするほうがいいのか、逆に手術をしないで1年や1年半ぐらいはいままでと変わらずにゴルフをするなど自由に動ける生活ができるほうがいいのか?

 

それを選ぶのも患者さん自身であって、その選択の結果について医者は責任を取ることはできません。

 

実際、がんって不思議な病気で、発見が遅れることが多いのも、ある程度進むまでほとんど自覚症状がないし(つまり、ふだん通りに日常生活ができる)、手術をしなかったり抗がん剤を使わなかったりすれば、死ぬ直前まで(人によって違いますが)意識もはっきりしていて、日常生活はたいがいのことができるからです。

 

ガンになった!さて、薬は飲むべき?

薬についても同じことが言えます。

 

この薬を飲んだほうがいいのか?飲まないほうがいいのか?という話になると、飲まないほうがいい人もいれば、飲んだほうがいい人もいます。

 

少し試してみて様子を見るということもできますが、最終的に薬を飲むか否かは患者さんが決めることです。

 

もちろん、薬を飲めばどうなるか?飲まなければどうなるか?というデータを示すのは医者の役割です。

 

ところが、非常に残念なことに薬を飲んだらどうなるか?飲まなかったらどうなるか?という比較データが日本にはほとんど無いそうです。

 

たとえば、血圧が160ぐらいであれば、一般に「ちょっと高めですから、薬を出しましょう」ということになると思います。

 

しかし、実際問題として薬を飲まなければ早いうちに脳卒中になってしまうのか、飲まない人は飲んでいる人に比べて早死にするのか、飲んだ人は長生きできるのか、といったデータは皆無です。

 

昔は血圧が160ぐらいで脳卒中になる人がたくさんいたそうです。

 

ところが、いまは栄養状態が改善され、タンパク質を多く摂るようになったことで昔の人たちよりも血管の弾性が強くなっています。

 

それこそ脳動脈癖があってくも膜下出血にでもならない限りは血圧160ぐらいで血管が切れるということはほとんどないのです。

 

そう考えると、血圧薬を飲まなくてもいい人がたくさんいると思われるわけですが、本来その比較データを作成すべき人たち……つまり国から研究費をもらっている国立大学の医学部の教授たちは、薬を飲んだときと飲まないときの長期的で、大規模な比較調査をほとんどしていないのです。

 

アメリカの研究では、血圧が160くらいの人なら、6年後に薬を飲まないで脳卒中になる確率が10%、飲んだ場合は6%に減るというデータがあります。

 

薬を飲むと脳卒中が減るわけですが、飲まなくても9割の人がならないし、飲んでもなる人が6%いるということになります。

 

それにもかかわらず、いま述べたような血圧に関することや、あるいは近藤先生のがんの本などもそうですが、これまでの医学の考え方と異なる現実のデータに基づいて話をすると、大学教授たちは「医学常識に反している」というような批判をするだけだそうです。

 

たしかな実験データ(彼らが持ち出すもののほとんどは、食生活の違う欧米のものや動物実験のデータです)や日本人を対象にした大規模調査データをもとに反論するということをしないそうです。

 

血糖値もちょっと高いくらいの方が健康には良い?

一般に血糖値が高いの不摂生と言われています。

 

しかし、近年の研究では血糖値は平均より少し高い人の方がより健康に長生きするというデータもあるくらいです。

 

そのときに、調査結果を批判した糖尿病内科の医者がたくさんいたのですが、自分たちの長期フォローデータをもとに批判した人の話は聞いたことはありませんでした。

 

医療否定や不信の本に対して、「あんなのは医学常識から外れているから信じちやダメだ」と言う医者はたくさんいても、その「信じちゃダメだ」を裏付ける自分で調べたきちんとしたフォローのデータを出してきた医者を私は見たことがありません。

 

このように日本では、薬を飲むべきか否か?という状況になった際、判断材料になるだけの数値データがないのが現実です。

 

でも、それでも私たちは薬を飲むか否かを選ばなければなりません。

 

 

他人任せにせず、きちんと判断を

国民皆保険が成立する医療大国と言われる日本……

 

しかし、こうした一歩引いた視点で物事を見るとその実態は世間一般で言われているものと大きくかけ離れていることが分かります。

 

お医者さんの言いなりになるのではなく、きちんと自分の頭も使って考えて、最善の決断を下したいですね。

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